第72回 Health Savings Account:高騰する医療保険への対応策

最近の医療保険の高騰により医療保険の見直しをされている個人、企業が多いと思います。保険の見直しをするにあたり、選択の一つにHealth Savings Account (HSA) も是非ご検討下さい。以前にも記事にした事がありますが、ここでもう一度HSAについて紹介しましょう。

HSAとは治療費を払う為の口座です。この口座を開設するには、HSAの規定にあった医療保険に加入しなければなりません。どんな保険でも良いと言う訳ではなく、HSA-Compatibleと明記されたプランからお選び頂きます。HSA用の医療保険は免責が高く設定されていますので、保険料金が通常のプランよりも格安です。

HSA用の保険は免責が高い為、保険が適用するまでに自己負担が多くかかります。その自己負担を払う為にHSA口座でお金を貯めておくのが目的です。ただお金を貯めておくなら普通の口座で良いのですが、このHSAは税金面で大きなメリットがあります。

● HSAに入金する金額は課税所得から差し引く事が出来ますので、税金を安くする事ができる。2009年度は個人では$3000まで、家族で$5950まで。2010年度は個人で$3050まで、家族で$6150まで。55歳以上の方は更に$1000増し。

● HSA口座内での利息、利益は課税繰越されます。

● 医療費として引き出すお金に対しては税金が掛かりません。保険でカバーの対象となっていない費用でも、IRSの規定にあっていれば引き出す事が出来ます。例えば、医療保険のみに加入している人でも、歯科治療、検眼、薬などの費用をHSA口座から引き出す事が許可されています。

このように保険料を安くしたい、税金を節約したい、課税繰越で貯蓄したいという方には大きなメリットがあるのですが、以下のようなデメリットもありますのでご注意下さい。

● HSA用の保険は免責が高い為に免責額に達するまでは保険が適用しない。特にHSAを始めて間もない時点では、十分な蓄えが無いために出費が多くなる恐れがある。

● HSA口座のお金を医療費目的以外で引き出した場合には10%のペナルティーと課税と所得税が課せられます。

HSA用の保険プランも増えてきましたので、それぞれの保険内容、HSA口座の内容などを考慮し、ご興味が御座いましたらエージェントにご相談下さい。

(注)HSA口座に入金する額は医療保険のDeductible(免責額)、Max Out-of-Pocket(最大自己拠出額)によって異なります。リミットに関しては、開設前に必ずAgentにご相談下さい。税金に関することは税理士にご確認下さい。