第3回 医療保険を理解する
アメリカの医療保険は多種多様にあり、日本のように簡単にいきません。PPO、HMO、POSなど色々なタイプの保険があり、さらにそれぞれに複数のプランがあります。保険証を提示したのに何もカバーされなかったという問い合わせがよくありますが、保険適用外の治療だったり、利用できない医療機関だったりということもよくあります。 まず第一に自分の持っている保険内容を徹底的に理解しましょう。一般的な注意点をご紹介致します。
1. 利用できる医療機関を確かめる
HMOの場合は限られた機関しか利用出来ません。専門医にかかる場合にも主治医に問い合わせが必要になります。PPOは医者や病院を自由に選べますが、保険会社と提携したネットワーク内の医療機関とネットワーク外では自己負担がかなり違います。利用する前にPPOネットワーク加盟の有無を確かめましょう。“○○保険のPPOを使えますか?”という質問をすると、ネットワーク外の医者からも使えると返答されます。保険は確かに使えますが、自己負担が高くなります。正しくは“○○保険のPPOに加盟されていますか?”と質問しましょう。
2. 自己負担を知る
各プランごとに自己負担が違います。一回の治療毎に払うCo-pay、保険適用までに自己負担するDeductible、保険適用時の自己負担割合のCoinsurance、年間自己最高負担額のOut-of-pocket Maximumなどを把握しておきましょう。保険会社が医療機関からの請求を支払った後に医療機関から請求が届きますが、保険会社からの支払い明細と医療機関からの請求書に間違いがないかも必ず確かめましょう。医療機関からの請求に間違いがあったり、保険適用前の請求を送ってくることもあります。
3. カバー内容を知る
保険会社からの支払い明細を見て初めてカバーされないことに気付く方が多くいます。カバー内容を明確に理解しておかないと、思わぬ自己負担が生じます。幼児の定期検診や婦人検診は適用するのに、一般の定期検診がカバーされないこともあります。保険会社の指定検査機関のみでしか定期検診できないプランもあります。カイロや針治療、出産、 処方箋薬など細かい所まで理解しておきましょう。
日本からの海外旅行者保険や、提携医療機関で利用できる割引プログラムなどに加入している方は、一般医療保険への変更をお勧め致します。海外旅行者保険ではカバーしない項目が多く、リミットも不十分です。割引プログラムは保険ではなく、割引はされるでしょうが、自己負担が多額になる恐れがあります。備えあれば憂いなし。